フォルダを漁ってて、過去に書きかけていた日記を発見した。
「最初の派遣アルバイト」の感想だった。帰ってきた夜に書いたのだ。
ああ・・・今思えば懐かしい。
私が初めておはぎと人間とベルトコンベアーの関係を知った、あの日の記録・・・・
――・――・――・――(以下は 9/19 の日記である)――・――・――・――
おだんご、作って来ました!・・・今、疲れててブログを書くような気分じゃないんだけど、今書かなくちゃ忘れてしまうこともあるだろうから、やっぱり書くよ。(既に文章がグダグダ)
朝は、まず遅刻しかかって催促のTELを受けた。(しょっぱなから!!)
担当さん「・・・今どこですか~?」
私「もー・・・すぐそこなんですけど・・・。すいませーん!(ゼェ、ハァ)」
電話口で精一杯呼吸を整えつつ、事務所で待ってるスタッフさんの冷たい目を想像・・・ヒィィィィ!!愛想良い声とは裏腹に、スタッフさんがめっちゃ冷たい目しとる!思春期の娘の、おやじギャグをかました父親を見る目みたい!そんな顔せんといて~!「アルミ缶の・・・」て言いかけた瞬間みたいなそんな顔するのヤメテ~!!
自転車を必死にがっしゃがっしゃ漕いで、どうにか間に合わせた。ちょっと汗だく。
初のバイトということでまず作業所に行く道から緊張。事務所から送迎の車に乗ったんだけど、みんな他人なもんだから誰もしゃべらないでやんの。なんだか空気はぎこちないし、ワゴンの車内は暗いし、やけに静かだし、派遣会社のお兄さんはバックミラー越しに私たちの様子をチラチラうかがってるし・・・(なんか、私たち怪しげなとこに売られようとしてない・・・?)と思ったらお兄さんがいきなり振り向いて私を見てきたァーー!
「えーと、(私を指して)あなた。前の車に乗ってくれますか」
「え!(私?)あ、はいッ・・・え、前・・・?(オドオド)」
指示通り、もう一台の車(女性のスタッフさんが運転)に分乗することになった。こっちは普通車で、私より先にギャルっぽい女の子たちが二人乗ってた。
(今日一緒に働くのかしら。年下だよね。てか、茶髪ギャルだ・・・こ、怖ええ!)
「こんちは!黒髪・メガネ・天然パーマの超文系女 さえき です。ギャルというものはスポーツテストのジグザグトリブルくらい必死に避けて通りたいです。声も掛けられないです」 それがさー。
『報告!現在の車内におけるギャル比は、 3:1 であります!』
スタッフの女性も茶髪でギャル系だった。
・・・いや、無理!
みんなと私、世界が違う!三人とも化粧でストパーでアイライナーで目ヂカラすげえの!おまけに三人とも、発車してから間もなくタバコふかし始めんの!
『報告!現在、車内における喫煙率75%であります!』
ここじゃマイノリティー。健康増進法も私を守ってはくれない!
会話も弾まないし、実は今からどこに行くのかも知らないし、詳しい作業内容も知らないし・・・その上、呼吸もままならないなんて!
もうね、頭の中をカラッポにして耐えた。山奥にあるその工場に着くまで。
なんだかんだで長い道のりを越えていよいよ食品会社「リョ●ユ●」の工場に入った。とにかく勝手が分からないから前の人について行って、着替えたり手を洗ったりして身の回りを清潔にした。何重もの過程を経てようやく生まれて初めて食品製造の現場に携わることになったわけ。
作業場に入るとそこは全くの未知の世界。機械があちこちでブンブンいってるし、そこらにアンコやパンの耳や和菓子の材料やおまんじゅうの生地が山積み。もう海賊モノに出てくるお宝の山みたいな状態。
「野郎ども、一切れ残さず食っちまえ!!」「アイアイサー!」
・・・いや、あんなに一度には無理。抑えろ私。
ともかく現場担当の方の指示に従い、私たちはベルトコンベアーのまわりで五個1パックのおはぎセットを作る任務を与えられた。その中でも私の担当は「サクラモチ」。サクラモチをパックの決められたポジション(左下)にセットする。それだけ。
正直、楽な任務で良かった。(他におはぎに黄粉や青海苔をまぶしたり容器にフタをしたりする任務もあったけど、私はサクラモチ担当が性に合ってたみたい)ケースに並べられたサクラモチをひたすら掴んでベルトの上に置くだけ。それを2時間やった。
送り出したサクラモチの数、1700個以上。
二時間やると、結構いくもんだねー。モチ50個入りのケースを34はさばいた。単調作業だから、空のケースの数を数えながら気を紛らわせたのでハッキリ覚えてるんだ。※本当に、この作業に関しては書くことが見当たらない。
それが終わったらお昼休みだった。お弁当はおかずが全てたんぱく質だった。(肉、から揚げ、魚に卵・・・が、オールコンプリートでした)
ポーカーだったらフラッシュ。お母さん、強いカードをありがとう。
でもさ、片や今まで居た現場では食べ物への感謝の心なんて微塵もいらないの。ちょっと規格外になったおはぎとかベルトから落として平気で床に捨てて、靴で踏みつけてたんだよ・・・多くの食べ物は、多分そうやって作られてるの。あれは悲しかった。だからね、お母さんが朝から揚げ物して作ってくれた手作りのお弁当、本当はとてもうれしかったんだよ。肉ばっかでも良かったの。
ともあれ昼休みが終わったらまた作業に戻った。
こんどは20個1パックのおはぎセット作り。私はパックの上にセロファンをかぶせてテープで止める役だったけど、これまた楽な方だね。私の後の工程(それを袋詰めしてテープで口を閉じる)は手が掛かって大変そうだったもの。
そっちが一段落したら別のベルトコンベアーに行って、かしわもちやおはぎ(あんこ)を扱ったり・・・午後の後半はあちこちをたらい回しにされてた感じでした。午後が5時間もあってゲンナリ。
何より辛いのは全部単調な作業で、しかも終わりが見えないってこと。おはぎを入れるパックが「ようやく終わりが見えてきたな」と思ってたら、隣のでっかい段ボール箱が開いてそこに補充ぶんのパックが、人が埋まるほど入っていたりする。
延々とおはぎの列が続いていつ果てるとも知れない恐怖・・・!三途の川のほとりにあるという『賽の河原』の恐さが初めて分かったよ。
ともあれ、ようやく作業が終わった。家に帰る時はワゴンの方だったので、紫煙地獄を免れられたのが幸いだった。
のろのろと自転車を漕いで帰った。家に着いたのは夕方だった。
夕食の準備の途中だった母がニコニコしながら出迎えてくれた。
「どうだったかな、初の『労働』の感想は~?」
大げさな言い方が私の精神的な疲れに拍車をかけた。
「どう」って、何が「どう」なんだ? 何を話せというんだ? 知ったこっちゃない。
そんな顔して、私に何を期待してるというんだ?
働いた。疲れた。そんだけ。これ以上の感想が欲しけりゃ疲れた私を少しは労わってしばらく体力の回復を待ってくれ。あ、今日のご飯は何? まさかおはぎじゃなかろうね?(ブラックジョークに失笑)
・・・なんて、答える気力もなかった。
(ここらへん、母から「学校どうだった?」と聞かれた思春期の息子の心境を思い浮かべてほしい)
ともかく、あとは金(給料)を取りに行くだけだ。面倒くせー。
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タバコ吸ってる人がキョロキョロした瞬間に灰皿を差し出し、時間を聞かれた時に誰よりも早く答えることを生き甲斐にしている。座右の銘は「当意即妙」。軽度のナルシズムは功罪一体で重度のサディズムは秘匿事項。手紙書き・片付け・シイタケが非常に苦手な、体長163cmの学名“Homo sapiens”でございます。
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