(夜、コンビニの駐車場に立っている女。吐く息が白い)
女:「こんな寒い夜に・・・私一人で帰れなんて言わないでしょ?」
(返事はない。女の目にうっすらと涙が浮かぶ)
女:「それくらいなら・・・いっそ、アナタに触れて火傷したい!
ねえ、温めて! 私の心も体も、アナタが温めてよ!!」
女、そう叫びながらコンビにの袋に勢いよく手を突っ込む。
取り出されたのは白い包み。
女が包みを開くと、そこには湯気を立てるピザまんが一つ。
女、素手でピザまんを持ち、一心不乱にかぶりつく。
三分の一ほど食べ進んだ女は、そこで初めて夜空を見上げる。
満足そうな横顔のアップ。
女は幸せそうに笑っている。
女の吐く息と、ピザまんから立ち上る湯気が白い。
そして、満点の星空を背景に浮かび上がる文字。
“涙が出るほど寒い夜に
セブンイレブンのピザまん(105円)”
ああ・・・
白い柔肌、なだらかな曲線を描くボディーライン、舌に絡まる官能
(なんて魅惑的)
一人きり帰り道がホント寒くてよー!
ピザまんでも買わんとやっとられんわー!
かじかんだこの手に、アイツの温もりが愛しいんじゃー!
・・・・・ピザまんバンザイ!
セブンイレブンに感謝じゃー!!
そんなことでも考えてないと乗り切れない。長い長い帰り道。
半分実話の “シリーズ 私の帰り道” (シリーズ化!?)
※第一作「網走より愛を込めて」 ←押すと飛びます
寒いっすね!いや~、めっちゃ寒いっスわ!!
私の帰り道に、とある会社の建物があります。
そこはクリスマスシーズンになると豪勢なイルミネーションを出すので有名。市内じゃちょっとした見物スポットになってるくらい。それが帰り道には毎日見られる。
ロマンティックなイルミネーションが夜道を照らす。沿道には多くの人が集まってる。通行人、家族連れ、その他。
ところで・・・・・寒いっすね。いや~、めっちゃ寒いっスわ。
昨日から一気に気温が下がっててさー、夜なんか特に参ってるんスけど。
話し相手もいないような冬の夜道を、チャリなんか30分も漕いでいられないっつーの。寒いっつーの。
「ああ・・・部室に泊まりたい」という誘惑とも、当然ながら週休2日で戦ってます。
そりゃ帰り道に素敵なイルミネーションがありゃ、私の心も慰められるよね。
歓声を上げる家族連れなんか見たら、この寒い心も温まるって話だよね。
ああ・・・○○株式会社よありがとう!
そう思いながらその会社の前を通過しようとした。
そしたら、エントランスの芝生の中に案内板が埋め込まれてるのに気付いた。
チャリを止めて、暗い地面に顔を近づけその内容を読んだ。
『お二人で記念撮影をどうぞ』
顔を上げると、目の前にピンク色の大きなハート型イルミネーションが立ってた。
『お二人で記念撮影をどうぞ』
・・・・ああ、そーいうこと。
うん。実にいいね、実に・・・・・・・
「うおォォォォォ! 全力でチャリを漕げェェェェ!!」
もちろん全速力、必死の立ち漕ぎだった!寒い!
早く家に帰らねば!寒い!ママンの手作りシチューを補給せねば死んでしまうぞ!
寒い!寒い!寒い!!
「・・・ああ・・・じっくり煮込んだ、トロトロの・・・シチューを
・・・・・・・・・食べ・・・た・・・かっ・・・・・・・・――――――」
「しょ、少佐ァァァァーーーーッ!!」
寒いィィィッ!!
私の心は、網走より寒かった。
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タバコ吸ってる人がキョロキョロした瞬間に灰皿を差し出し、時間を聞かれた時に誰よりも早く答えることを生き甲斐にしている。座右の銘は「当意即妙」。軽度のナルシズムは功罪一体で重度のサディズムは秘匿事項。手紙書き・片付け・シイタケが非常に苦手な、体長163cmの学名“Homo sapiens”でございます。
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